全館空調の更新や故障費用で検討を悩まれている方へ

全館空調は、居室だけでなくトイレや廊下といった非居室を含む建物全体を常時換気・空調するシステムです。部屋ごとに冷暖房を行う個別空調(エアコンなど)に対し、全館空調は家全体を一括管理することで温度ムラが解消され、ヒートショックといった寒暖差による健康リスクを回避できるのが大きな特徴で、F-CONも全館空調の1種です。

最近、弊社には「F-CONを導入した場合の更新費用」についてのお問い合わせが増えていますので、今回は全館空調の更新についてお話ししたいと思います。

どの空調設備でも経年劣化による寿命があり、全館空調もいつか必ず故障します。そのタイミングは環境や使い方によって様々で予測することはできません。

しかし、前もって備えておくべきポイントが分かっていれば、突然の故障にも冷静に対処できますので、すでに全館空調をお使いの方はもちろん、これから導入を検討される方も、ぜひ参考になさってください。

全館空調の更新(故障)にまつわるトラブル事例

全館空調が故障した際のトラブルをあげてみました。これからお話しする全館空調の冷暖房方式や販売方式の違いなど、事前にある程度の知識があれば、防げたトラブルもありそうです。

家を建てたハウスメーカーに故障の連絡をしたところ、全館空調のメンテナンスと点検はサポート対象外と断られた。家の引き渡し後、全館空調メーカーからの連絡は一度もなく、サポート窓口を調べるのに時間がかかった。

全館空調メーカーに故障の連絡をしたところ、ハウスメーカー(工務店)経由で問い合わせするように言われたが、そのハウスメーカー(工務店)はすでに廃業しており、たらい回しにされた。

家の引き渡し時に全館空調のメンテナンスなどに関して、ハウスメーカーから一切の説明がなく、数年後に不具合が出たので、全館空調メーカーに問い合わせしたところ、無料の点検期間が終わっていた。

不具合について全館空調メーカーに問い合わせしたところ、生産中止となった型番で補修部品もなく修理不可能で、新しい型に総入れ替えする必要があると言われ、大きな出費となってしまった。

天井吹き出し型を20年使用し、補修部品も無く交換となったが、機械は20年間でモデルチェンジを何度も繰り返し小型化しており、そのままの同じ位置に取り付けられず隙間を埋めるための工事がプラスされたり、ダクト接続口も既存のものが使えず、その分の費用がかさんだ。

全館空調の冷暖房方式

全館空調といっても冷暖房方式によって様々なタイプがありますが、大体、下記の4種類に分類されます。すでに導入済みの方は現在お使いのものがどのタイプなのかを確認してみてください。

  • 天井吹き出し型
  • 床下冷暖房型
  • 壁掛けエアコン型
  • 無風型(F-CON)

それぞれの仕組み、特徴について詳しくはこちらをご覧ください。

全館空調の寿命

全館空調は、①室外機、②室内機、③配管の3つで構成されており、それぞれで寿命が異なることに注意しましょう。①~③が同時に故障することはまずありません。

全館空調の構成要素

①室外機

全館空調の室外機は、エアコンと同様に寿命が10~15年程度とされており、冷暖房方式が違っても寿命はだいたい同じです。ただし、メーカーによって保証期間が異なりますので確認しておきましょう。

F-CONの家庭用室外機の場合は家庭用途の場合10年保証となっています。

②室内機

室内機の寿命は冷暖房方式によって異なります。

送風ファンによって冷風、暖風を各部屋に送るタイプ(天井吹き出し型・床下冷暖房型・壁掛けエアコン型)

室内機と室外機がセットとなっているため、どちらかが故障したら両方交換しなければなりません。室内機よりも室外機の方が故障するケースが多いため、寿命は10~15年程度ということになります。交換費用は「室外機+室内機」の分だけ必要になります。

輻射熱による冷暖房(無風型)

F-CONのような無風型の場合、室外機と室内機の寿命は別々です。室外機が故障した場合は室外機のみの交換で済み、室内機(=輻射式パネル)は引き続きご使用いただけます。

室内機の寿命はメーカーごとに異なりますが、F-CONの室内機(=輻射式パネル)は、流水部はステンレス製、それ以外はアルミ製のハイブリッド型で設計上の期待寿命は50年以上(保証期間は1年)です。

③配管

配管も室内機と同様に冷暖房方式によって異なります。

建物内にダクトを通して各部屋に冷風、暖風を送るタイプ

ダクト内にホコリなどが侵入しないようフィルターがついており、フィルターは定期的な清掃と数年ごとに交換が必要です。

メーカーとしてはフィルターがあれば、ダクト内のカビ発生やホコリ侵入の心配はなく、ダクト内の清掃は不要と謳っていますが・・・

ここで多くは語りませんが、ご参考までに、業務用空調設備のダクト交換の目安は一般的に18~20年です。ダクトは永久に使えるものではないということは覚えておきましょう。

配管とダクトの違い

配管のことをダクトと表現することがありますが、まったく同じものではありません。

配管は空気などの気体だけでなく、水やガスなど様々な流体を通すことを目的としているのに対し、ダクトは気体だけを通すことを目的としています。また、ダクトは空調だけでなく、換気目的でも使用されます。

輻射熱による冷暖房

F-CONのような無風型の冷暖房方式の場合、配管には冷温水(不凍液)を流します。

配管素材はメーカーごとに異なりますが、いわゆる水道管と同程度の耐久性と考えてよいでしょう。

ちなみに、F-CONの冷温水配管は樹脂とアルミからなる高耐久性の3層管を採用しています。

全館空調の更新(交換)

室外機、室内機、配管それぞれの寿命は異なり、すべてが同時に壊れることはまずありませんが、何かしらの不具合や、経年劣化によって交換が必要となった場合は、先述した通り、冷暖房方式によって交換機器が異なります。

機器の更新(交換)パターン

  1. 室外機+室内機の両方交換
  2. 室外機のみ交換(室内機は継続使用)
  3. 室外機+室内機+ダクト交換

一般的に全館空調の更新費用は導入費用と同程度と言われています。故障による更新タイミングがメーカー保証期間内であれば費用の心配はありませんが、保証期間終了後の15~20年先となると、更新パターンによって、一度にかかる費用に大きな差が生じてきます。

メーカーのメンテナンス方法による違い

メーカーのメンテナンス方法によっても更新(交換)パターンは異なります。

定期的にパーツの劣化具合を確認し、段階的に交換していくメーカーもあれば、故障したタイミングですべての機器を交換するメーカーもあります。モデルチェンジで生産終了となった型番でも、メーカーによっては総入れ替えではなく、段階的な交換で済む場合もあるようです。

先ほど更新費用は導入費用と同程度とお話しましたが、機器を総入れ替えする場合は1回で高額な費用が必要となりますが、段階的な交換の場合は1回にかかる費用は抑えられます。

そこであたらめて確認いただきたいのは、全館空調の販売方式とメンテナンス担当窓口です。

全館空調の販売方式とメンテナンス担当窓口

全館空調の販売方式

ハウスメーカー系の全館空調

ハウスメーカーと全館空調メーカーがセットになっていて、そのハウスメーカーで家を建設することが決定した場合、セットになっているメーカーの全館空調を導入します。

ビルダーフリーの全館空調

ビルダーフリーの全館空調は、工務店がその全館空調メーカーの加盟店(販売代理店)となっており、設計、施工、アフターフォローまでを担当します。

全館空調のメンテナンス担当は誰なのか?

ハウスメーカー系の全館空調を導入した場合、そのハウスメーカーが全館空調メンテナンスの窓口も兼ねているところもあれば、全館空調の点検とメンテナンスは空調メーカーが担当し、ハウスメーカーはサポート対象外としているところもあります。

このようにハウスメーカーは全館空調メンテナンスにタッチせず、空調メーカーが窓口となる場合、家を建てる時点で定期的なメンテナンスや更新にかかる費用などの説明がなく、トラブルに発展しやすいようです。

ビルダーフリーの全館空調の場合は、家の設計、施工担当した工務店が全館空調のメンテナンスも家の修繕などとあわせてサポートしていくのが基本スタイルです。

F-CONはビルダーフリーの全館空調システムで、家を引き渡した後のアフターフォローはF-CON提携先でもある工務店やハウスメーカーが担当します。また、室外機の10年保証(家庭用途)をF-CONのメーカーであるFUTAEDA株式会社が実施をしています。

ポイント

新築であれ、リフォームであれ、全館空調を導入する場合は、保証期間はもちろん、全館空調のメンテナンスは誰が担当するのか?窓口やサポート体制もしっかり確認しておくことが大切です。

F-CONの寿命と更新について

お客様からお問い合わせが多い、F-CONの寿命と更新についてまとめました。

F-CONの寿命と更新

寿命

  • 室外機・・・寿命は10~15年(弊社独自の10年保証あり)
  • 室内機(輻射式パネル)・・・流水部はステンレス製、それ以外はアルミ製のハイブリッド型で設計上の期待寿命は50年以上(保証期間は1年)
  • 配管・・・樹脂とアルミからなる高耐久性の3層管を採用

更新

  • 室外機が故障しても室内機(輻射式パネル)と配管は継続使用でき、室外機のみの交換でOKです。そのため、ダクトの交換や大掛かりな工事費やフィルター費用の消耗品も不要です。
  • 室外機の種類にもよりますが、室外機の交換費用の目安は30~50万円で(ただし、これは最大コストであり故障の程度によっては部品交換のみ、数万円位で済む場合もあります。)

まとめ

全館空調に限らず、どの空調設備でも寿命は必ず訪れます。ただ、全館空調の場合は建築とセットとなっており、エアコンなどの個別空調と違って、壊れたらまた新しいものを家電量販店で買ってくればいいというものではありません。

そのため、冷暖房方式や販売方式など全館空調の特徴を把握した上で最適なメーカーを選定し、保証期間はもちろん、サポートに関する窓口や体制もしっかり確認するようにしましょう。

また、更新費用に関しては故障してから慌てても遅いため、余裕を持って計画的に備えることをおすすめします。

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